バトン三日目:ウィード
ウィ「トゥ…何?」
クェ「トゥルッリです。イタリアかどっかのアルベロベッロとかいう土地の世界遺産の建物の建て方か建物自体のこと。テレビでやっててついつい深夜2時過ぎまで見てました」
ウィ「へぇ~。そんなに夜遅くまで見てたくなる位面白い家だったのか?」
クェ「全部石灰岩で出来てるんですよ、凄くないっすか!?」
ウィ「え、全部石!?壁だけとかじゃねぇの?」
クェ「ほぼ石を積んだだけなんすよ。しかも屋根には繋ぎを一切使わないと来た!」
ウィ「そ、それ崩れるだろ…俺が馬鹿だからって騙そうとしても駄目だからなっ」
クェ「いやいや、クェも寝ぼけながらテレビで見ただけなんですが、多分ガセじゃないんですよマジで。そして多分あの地域はそんなに地震無いんすよ」
ウィ「うーん…そりゃ俺達の所も地震なんかここの所ずっと来ないけどちょっと怖いな…」
クェ「何か、円とアーチの組み合わせで力の方向が上手いこと行って、結果として案外崩れない家になるみたいです」
ウィ「ああ、木だって丸く組んだら結構壊れにくいもんな」
クェ「そうそう外からの力に強いんです。サイズや質が違うのを三重に積むらしいですしね。で、材料や屋根の断面図を見て思ったこと。ここ雨風少ないんだろうなー」
ウィ「何で?」
クェ「だって超雨漏りしそうだし、台風来たら瓦飛ぶじゃないですか。しかも石灰岩とかに頻繁に雨浴びせたら家が鍾乳洞になっちゃいそうじゃないっすか!」
ウィ「へ、へぇ…でも普通に降った位なら大丈夫なんだろ?」
クェ「そうみたいです。しかも多分うまい具合に表層が溶けたりして隙間を塞ぐんじゃないかなと思います」
ウィ「だから繋ぎがいらないのかな」
クェ「さあ知りません」
ウィ「そう言えば、雨降らない上に家作れる位岩だらけじゃ、畑作るの大変そうだよな」
クェ「そうみたいですよ。何か掘るとすぐに石灰岩が出てくるらしいです。更に下には石灰岩の岩盤!豆をよく食べるみたいですから豆は育つのかな。それより何よりクェは水を得る工夫に感動しました」
ウィ「下が岩で塞がってるなら井戸は無理だよな~。じゃあ川とか池から組むんだろ?」
クェ「ふっ、そんななまっちょろくないですよ。雨水を溜めるんです」
ウィ「さっき降らないって言っただろ?」
クェ「全く降らなかったら砂漠になるでしょうが。一応降るんです。それを、計算された屋根の窪みで水溜に流し込むんですよ!更に、街全体が一点に向けて傾いていて、道路は用水路!共同の地下貯水池に流れ込むって寸法です!」
ウィ「へえ~そりゃ凄いな。皆で使えるのか?」
クェ「はい。もうこの計算された街作りとかめっちゃときめきました。クェも漫画の中の街とか村デザインで見習いたいっす」
ウィ「俺達の村ってあれが普通だと思ってたけど、山の向こうの大きな街とは違うよな。何か考えてあるのか?」
クェ「とりあえず四季の変化や雨は穏やかですが、冬場に雪が結構降るからあの地面近くまで伸びた尖り屋根なんすよ。後は何か伝統?」
ウィ「でも雪は玄関から出られない程じゃないよな」
クェ「ええまあ、つぶれない程度に雪で覆われたら温いかと思って。それに、どうせ雪の時期は農作物に期待できないから冬は引き込もって工芸品作るか出稼ぎかなって思ったから屋根の下で陰干しが出来たり壺とか置いて貯蔵スペースにしたりできる設定なんすよ。使ってますか?」
ウィ「使ってるけど…どの位が後付けなんだ?」
クェ「……半分…位?」
ウィ「冬の設定とか?」
クェ「…っ、てぇいもう聞くなっ!!」
クェーサー、逃亡により終了。
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