あ、本編のとは全く関係ないですのでご注意を。
☆★☆ある夏の日★☆★
カンカンカン…ぱさ…ブロロロロ……。
足音と微かなエンジン音、そしてぬ~べ~の家の郵便受に何か入る音。
それと共に強烈な妖気。
鵺「む?」
外に出たぬ~べ~は、何の怪異もないのに首を捻り、郵便受を見ました。
鵺「……最近の妖怪は郵便局でバイトするのか?」
郵便受にあったのは至極普通の紙っぺら達。
鵺「随分強そうな感じだったが……平和主義なのかもな」
和やかに笑ったぬ~べ~、しかし次の瞬間目の色が変わりました。
『この夏は都会から離れてホームステイ。三食昼寝付。美味しい空気と新鮮な食材、満天の星空を満喫しませんか?狩猟にも挑戦できます。連絡先…』
鵺「うへへ…」
反射的に涎を垂らしながら陽神を作っていたぬ~べ~ですが、不意に動きが止まります。
鵺「なにぃっ!?年齢制限なしっ!?……いや、でも待てよ……これは田舎の農家が人手欲しさにやってるのかも……」
そう呟きながらもぬ~べ~の手は受話器を持ち上げボタンを押しています。
――数分後――
鵺「おばあさんっすぐ行きまあ~~~~っす♪♪」
それこそ鬼の様な勢いで荷物を纏めたぬ~べ~は、麦わら帽子装備でスキップしながら童守稲荷に向かいました。待合せ場所、駅とかじゃないんですね。
鵺「ふんふふーふふ~ん♪肉肉肉肉~バーベキュ~♪」
いつの間にやら空は紫!雲はピンク!蠢く大気は重苦しい!
蝉の声はパッタリ止んでいやぁ素敵な心霊日和!!
しかし今夜は肉が食えると聞いたぬ~べ~にはそんなもの見えません!!!
しかし流石にこれは見えました。
玉「鵺野先生~!こっちですよ~~!!」
鵺「ぬ゛っ!?」
何か、鳥居の下で最近ストーカーチックなライバルが手を振っています。あ、気をつけてくださいこっから玉ぬ色が強くなります。
鵺「玉藻!?何でお前がここに!?」
玉「鵺野先生、ホームステイするんでしょう?」
鵺「…何で、それを……まさかお前、俺の部屋に盗聴器しかけてるのか!?」
玉「ああ…それも良いかもしれませんね」
鵺「よくないっ!!……うぅ…まさかお前もホームステイ行くとか言うんじゃないだろうな」
玉「私は泊まる側じゃないですよ」
鵺「はぁ?何言って…」
玉「『言ったでしょう?童守稲荷で待っています』って」
鵺「……!!」
玉藻の口から人の良さそうな老婆の声が出てきます。それを聞いたぬ~べ~の毛穴からは嫌な汗が出てきました。
玉「さ、時間が勿体ない、行きましょう♪」鵺「ま、待った!ホームステイってまさかお前の部屋じゃないだろうなっ!?」
玉「嫌だな、違いますよ。私の実家です」
鵺「何っ!?」
余計に悪いです。
玉「実は、恋人ができたなら見たいとせっつかれまして……」
照れた笑みで頭を掻く玉藻。
ストーカーの妄想と言うものは時に勝手に深くなるもの……最悪の状況です。寝室にははしゃいだ親戚一同が布団を並べてしいているに違いありません。
唖然として固まっていたぬ~べ~は異界に向けて開いた穴に引っ張り込まれそうになっている自分に気付いて暴れました。
鵺「ぶざけるなっ誰がお前の恋人だーっ!!大体恋人だったら騙しておびき出す必要なんかないだろがぁっ!!」
玉「だって鵺野先生は照れ屋さんだから…普通に誘っても、来てくださらないでしょう?」
鵺「くぬぅぅ……離せ~っ!!」
玉「……全く、強情な人だ。それっ」
玉藻は、ぬ~べ~のボストンバックをかっぱらい、穴に向けて放り投げました。
鵺「ぐあああっ!俺の荷物っ!!馬鹿野郎、あれには俺の財布も入ってたんだぞ!!」
玉「フッ、じゃあ取りに行けばどうです?」
そう言うと、ぱっとぬ~べ~から手を放す玉藻…満面の笑みです。
鵺「財布~~~っ!!」
玉「フッ、愚かな」
飛び込んだぬ~べ~の姿が消えるのを待って、玉藻先生も後を追いました。
……そして、ぬ~べ~の妖怪ホームステイが強制的に始まったのでありました。
☆★☆玉藻先生ろくでもなさずぎです★☆★
…この夏の自由研究のテーマは『愛』で決定ですね。
ってか妖狐族、お祭り好きか……?てか相当暇か?こんなんだったら。
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