四月一日。石蕗丸が玉ちゃんに言います。
「あの~その~…誠に遺憾ながら…玉藻様のおいなりさんを食べてしまいましたと嘘をつく予定だったのですが…」
「そうか」
ガクブルする石蕗丸の胸倉を玉ちゃんが掴みます。笑顔です。右手に石蕗丸、左手に首さすまた。
「ゆるさん」
許されないようです。ちなみに@童守小グラウンド。あの眉毛の人の目に止まらない訳がありません。
「Σちょ……玉ちゃん落ち着いて!!」
叫ぶものの、妖狐さま達のとっても良さそうなお耳には届かないようです。
「し、しかし私ごときに隙をつかれる玉藻様が悪いのです!玉藻様のおいなりさんが美味しそうなのも悪いのです!」
石蕗丸、必死の様相です。
「絶対ゆるさん。そこになおれ」
「玉藻様に胸ぐら掴まれてるのでいたしかねます!」
そうです。石蕗丸は持ち上げられて体が宙に浮いているので、なおれと言われても無理なお話です。
「私のおいなりさんを食べた罪は重い…」
厳かに告げる玉ちゃん。
「くっ、この石蕗丸、簡単には死にませぬぞ!」
若狐は玉ちゃんの腕を振り払い、なんと呼ぶべきやらよくわからないあの武器を構えます。
そして乱闘へ。ぶつかり合う金属と金属とが激しい音を立てます。じきに炎が上がるでしょう。
その様子を見るぬ~べ~は、くっ…ぐおおとうめきます。
おいなりさんがどっちのか気になって止めに入れないのです。映画変態仮面の公開が、近いですからね。
どかーんばきーんと、戦う人外の者たちは、ぶつかり合う合間にちらりちらりとぬ~べ~を見ています。
無表情気味の玉藻先生が何を思っているかというとこうです。うーん、意外と止めに来ないな。石蕗丸は生徒ではないからか。
一方、険しい表情の石蕗丸は、鵺野鳴介、まさか我らの演技を見破ったと言うのか!?と、思っています。
はい、本日四月一日。エイプリルフールです。
そうこうするうちにぎゃんと上がる悲鳴。石蕗丸です。
「あっ!」と玉ちゃん。
「あ?」とぬ~べ~。
「あ…」と玉ちゃん。
はい、ばれました。
ぬ~べ~の眉がキリキリと釣り上がります。
「玉藻ーーーっ!!!!」
そうして小芝居をしかけられていたことに気付いたぬ~べ~が激おこぷんぷん丸に変態したので、平和な狐組は逃亡して次の案を練るのでした。
「玉藻様っ、賭けはこの石蕗丸の勝ちでございます!」
「ふん…いいさ。いなり寿司くらい作ってやるさ。しかし大丈夫だったか?」
「はっ、もう傷は塞がっております」
「ふむ、では次だが…」
☆☆☆☆☆☆
映画HK観たい気持ちが溢れました(笑)